衣服を守るという頼もしいはたらきをしてくれる防虫剤ですが、使い方を誤ると大変なことになります。防虫剤の持つ危険な側面もきちんと把握した上で、正しく使うようにして下さい。


防虫剤にはピレスロイド系・パラジクロルベンゼン・ナフタリン・樟脳の四つの種類があります。このうち、無臭のピレスロイド系は他の防虫剤といっしょに使用しても差し支えありません。しかしそれ以外のものは必ず単独で使うようにして下さい。いっしょに使ってしまうと液状になって衣服にシミがついてしまう可能性が大です。新しい防虫剤を使用する時は以前のものが収納スペースのなかに残っていないかも確かめましょう。


防虫剤は虫の害を防ぐだけあって、その威力はなかなかのもの。たとえ人間でも、口のなかに入れると大変なことになります。小さいお子さんのいるご家庭は特に気をつけましょう。万が一、防虫剤を食べてしまうとどうなるかを知り、事故防止に備えて下さい。

◎パラジクロルベンゼン◎
毒性はさほど強くなく、小さなカケラなら、水をたくさん飲んで様子を見るだけで大丈夫です。もし吐き気や腹痛、下痢などの症状があった場合は病院へ。大量の場合は肝臓や腎臓に障害が出る可能性もあります。

◎ナフタリン◎
毒性は高く、小さなカケラでも危険です。症状としては吐き気や腹痛、下痢、発熱、発汗などですが、これは翌日に出ることもあります。症状が出たら必ず病院へ行きましょう。

◎樟脳◎
最も毒性が高く、小さなカケラでも安心できません。吐き気やめまいに襲われ、ひどい場合はけいれんを起こしたり、腎臓や肝臓に障害を受けたりします。必ず医者へ行きましょう。

◎ピレスロイド系◎
無臭タイプの防虫剤ですが、その毒性や人体におよぼす影響についてはデータがあまり公表されていません。口にすれば危険だという認識で扱うようにして下さい。



小さなお子さんが誤って防虫剤を飲み込んでしまった時、とっさに考える応急処置は毒を薄めるために水を飲ませることだと思います。この時、絶対に牛乳を水代わりにしないで下さい。牛乳は毒を薄めるどころか、体内への吸収を助けるはたらきを持っています。これを知っているといないとでは大違いですから、しっかり記憶しておいて下さいね。